岡村重夫先生と水仙福祉会 |
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岡村理論を学ぶ 岡村重夫先生(前 大阪市立大学名誉教授、大阪市社会福祉研修センター所長)は、平成3年11月(1991年)水仙福祉会が経営する生活介護事業所「風の子そだち園」の後援会会長を快く引き受けてくださり、お亡くなりになるまで会長をしていただいた。 この間、職員研修会や保護者の勉強会で講演をしてくださったり、また、研修センターにおいて、主だった職員と突っ込んだ話合いを長時間に渡って2回程応じていただいたり、その上、ご自宅にも何度となく伺い先生のお考えを聞く機会を得ることができた。 私たちが本格的に岡村理論を学ぶ気持ちになったのは、やはり後援会会長をしてくださり、先生との接触の深まりのなかで触発されたからである。そして法人の幹部職員は、先生の著作のなかで理解しようと努めたのである。しかし、それは哲学的思考に組み立てられた結構難解な理論であり、文章であった。そのため分からないところは、直接聞いて理解しようということと、先生がお元気なうちに、一杯吸収しておきたいという厚かましい願いもあったと言える。 その都度先生は、いつでも私たちを歓迎して、時間の過ぎるのも構わず熱心に自らの見解を述べられた。こうして岡村理論と触れ合うなかで、私たちがこれまで利用者主体を原則として仕事をしてきた中味と、岡村理論とが一致することを発見したのである。 以来、毎年法人内職員研修や新採職員研修において、岡村理論を学ぶことを続けてきた。しかし、岡村理論を抽象的に理解しても、なかなか実践と結びつかない面を感じてきたところから、今年度は各施設から事例発表を行なって、岡村理論の社会福祉的援助の原理との関連を討議することにした。3回に分けての研修の終日には、岡村理論の研究者である松本英孝先生(神戸学院大学教授)に助言者として参画していただき、更に理解を深めることにした。このスタイルは成功し、よく理論の意味が判ったとか、仕事の方法が掴めたという参加者の感想が聞かれたのである。 私たちはこれからも対人援助の基本理念については、常に岡村理論を基盤に据えて点検し、実のあるものにしていきたいと思っている。 さて、岡村先生と水仙福祉会との関係のなかで、講演をいただいたり、座談会をしたりしたテープ起こしの記録が幾つかある。これまではそれを法人内職員の研修資料として結構活用してきた。しかし、いずれも優れた内容のものばかりなので、私どもの法人だけで活用するのでは勿体ない。広く社会福祉の現場の方々にも読んでいただき、岡村理論の啓発の一助となればという思いから法人のホームページに掲載することにしたのである。 読まれた方々の実践にとって参考となり、また仕事への意欲と生きる喜びをもたらすものだろうことを確信したい。 2007年11月
社会福祉法人 水仙福祉会 理事長 松村寛 アイ・サポート研究所 所長 |
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