会報「風の輪」 第34号(平成19年8月発行)
高齢者の地域生活支援を

 「水仙の家」には、@瑞光地域在宅サービスステーション、A居宅介護支援事業所(ケアプラン作成)、B通所介護事業所(デイサービス)、C訪問介護事業所(ヘルパー派遣)という4本柱がある。
 このうち、@は地域の方の相談窓口として、A〜Cは、介護保険制度に基づく事業所として位置づけられている。
 これらの利用者の年齢層は40〜100歳代まで幅広い。
 その中でも特徴的なのは、独居、高齢者のみの世帯、高齢者と障害者の世帯など。本人の状態に加え、その置かれている環境から、より手厚いサービスを必要なケースが非常に目立つ。
 一方、収入の目減り、介護保険の自己負担額の生活費に占める割合の増加などから、サービス利用を控えめにせざるを得ない家庭も多い。

生活ニーズの多様性
 独居の人が自宅で転倒し、起き上がれないため、事業所に電話が入る、あるいは緊急入院となって、ケアマネージャーが病院に付き添うなどは、日常茶飯に起こることである。
 また、買い物や掃除など、ホームヘルパーを利用する人の多くは、今まで長年続けてきた生活スタイルを崩したくないという思いが強く、品物の銘柄や購入する店、掃除や洗濯の仕方などに、細かな注文が入ることもある。
 デイサービスでは、他の事業所に比べて要介護度の高い方の利用が多い。日中の過ごし方を工夫したり、嚥下困難な方のための、おいしく食べやすいペースト食の研究などを積み重ねている。加えて、医院、銀行、美容院へ行きたいなど、日常生活での様々な要望が本人や家族から出される。

地域生活支援とは何か
 厳密には、介護保険制度だけでは、こうした要望の全てに応えることはできない。
 たとえば、ヘルパーとは美容院に行けない。買い物の同行は日常生活に必要なものに限られる。
 これは、障害者の自立支援法が、建て前だけでも「社会参加」を謳っていることと、大きく違っている。長年、障害児者の仕事をしてきた私にとっては、違和感が強い。
 デイケアなどでは、毎月理髪師が来ているところもあるが、デイケアでヘアカットするのではなく、美容院や理髪店で、おしゃべりしながらカットしたいのだ。高齢になっても、心身の機能が弱ってきても、「住み慣れた場所で今まで通りの生活」を続けたいのは、誰しも同じである。

水仙の家に求められるもの
 介護保険制度が発足して7年余り。昨年、大幅な制度改正があり、支援の必要度の増加を予防する「新予防給付」が始まった。また、サービスの報酬単価も見直された。
 水仙福祉会の基本理念である「主体性、意思、自己尊厳の尊重」を大切にする時、必ずといっていいほど、制度と
の矛盾が生じる。
 また、家族・周囲が本人のためと思い判断することと本人の要望が違う時などは、ニードを充分に尊重できているのかと、自己反省する場面は残る。
 地域の潜在ニーズの掘り起こしを始め、地域の高齢者が充実した生活を送れるような援助のあり方を、今後も追及していきたいと考えている。
水仙の家 施設長・榎本多美子

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社会福祉法人 水仙福祉会