会報「風の輪」 第56号(平成27年7月発行)

自然をより身近なものに 〜職員研修を通しての学び〜

 水仙福祉会では、人間も自然の一部であるという考えのもと、自然や環境のことを意識しながら日々の支援を行なうよう努めている。日常生活と自然との関わりについての考えを深めるために、5月13日、研修を行なった。
 テーマは「私たちの生活と自然のかかわり」、常翔学園中学校・高等学校の北尾元一校長を講師として招き、法人職員130人が参加した。
 お話の後、都会での生活でいかに自然と触れ合うか、自然の大切さをどのように周囲にも伝えていくか等、職員からの質問があり、答えていただいた。なかでも、「自然と触れ合う経験をしてきた子どもは、他者をいたわる気持ちが育ちやすいのではないか」ということばには、参加者一同大きくうなずいていた。
 研修を機に、自然を身近なものとして感じる職員が増えるよう、各施設でも研鑚を重ねる所存である。

【講演要約】
大切な原体験
 原体験とは、記憶の底にいつまでも残り、その人が何らかの形でこだわり続けることになる幼少期の体験のこと。
 私は町で育ったが、休みになると父親が虫捕りに連れていってくれた。それが原体験となっている。虫好きが高じて大学では蚕の研究にたずさわり、生物の教師として教鞭をとるようになった。
 保育園や通園施設に通う子どもたちは、これからの経験が原体験になる。成人の人やお年寄りについては、昔の経験はよく覚えておられる。とくに高齢の方は、原体験と重なる経験により気持ちが安らぐことが多い。

里山と奥山
 里山とは、都市や集落に近い山すそ野から田畑が広がる里にかけての一帯で、人間の手が入った二次的な自然。手つかずの自然は奥山と呼び区別している。有名な『ふるさと』をはじめ、『春の小川』や『赤とんぼ』など、里山の風景を歌った曲は多い。
 農耕文化と深く関わり、人間が利用してきた自然といえる。森は木を間伐することで光が差し、豊かな土壌となり多くの動植物が生息する。

生物多様性と里山
 生きものはお互いに関わり合いながら、環境を支えている。たとえば、「発酵」にも「腐敗」にも微生物が関与しているという事実のように、この世に不必要な生物は一切ない。私たちは、自然や多様な生きものと触れ合うことを通して、心が豊かになり、また多様な文化を生み出していけるのである。

【質問に答えて】
自然に触れる

 自然を楽しむためには、詳しい人について教えてもらうのが早道。珍しい生きものをみつけたら、写真を撮って調べることもできる。
 子どもたちは、大人が楽しむ姿を見て学ぶもの。土をさわる、泥んこになる、実際に触って感じることが大切。自然が好きだという気持ちが環境保全の意識へとつながっていく。カタツムリや鈴虫を飼うのも良い経験となる。
 土手や道端で見かける植物や花を、一輪挿しに入れて楽しむこともできる。店頭の花の多くは西洋のもの。日本古来の草花の方が私たちにはなじみやすいのではないか。

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社会福祉法人 水仙福祉会