会報「風の輪」 第59号(平成28年3月発行)

本人の取り組みを支える支援をめざして
―今日の実践を明日につなぐ―


 水仙福祉会では利用者本人の主体性を大切に、本人の自己決定、自己実現を尊重した支援を心がけている。さらに利用者が家族の一員として生き生きと生活していくため、生活の基盤である家庭にも目を向け、より良い家族関係が築かれていくよう家族支援にも力を入れている。
 このような理念のもと、本人主体や家族支援のあり方についての考えを深めるために、大阪市立大学大学院生活科学研究科の岩間伸之教授をお招きし、2月1日に法人全体研修を開催した。参加職員121人。
 「支援困難事例へのアプローチと本人主体の援助論―本人とその家族への支援のあり方を考える」と題し、対人援助の特性や援助の根拠となる価値について講演いただいた。

支援の根拠となる価値
 対人援助において何をもってよしとするのか。数字や形で見える成果と異なり、援助の成果は目に見えにくい。そのため、支援者は本当にこれでよかったのかと頭を悩ませる。2つとして同じ事例はないため、それぞれに対応していく専門性が求められるが、その根拠や本質をたどれば同じところにいきつくはずだ。
 その支援の根拠となるのが価値である。支援者が持つ知識や技術をどのように使うかは価値によって決定される。ここでの価値とは「援助を方向づける理念・思想・哲学」と位置づけられており、成果が見えにくい対人援助においては、価値が持つ意味は極めて大きなものとなる。

取り組みの主体は本人自身
 実践の場において、援助とは援助関係のなかで本人自身が自分の課題を解決していくための取り組みでなければならない。本人が自分の現実を直視し、抱える課題と向き合い、自分と社会とのつながりを意識し、自分の生きる意味と存在する価値を見つけようとする。そのために、支援者は本人が決める道のりを徹底的に支え、本人の気持ちの揺れに寄り添いながら、専門的な働きかけを行なう。支援のゴールはあらかじめ設定されない。支援者と本人の関係のなかで行きついた先がその支援のゴールなのである。

岩間伸之氏
1965年生まれ。同志社大学大学院文学研究科社会福祉学専攻博士課程後期修了。米国コネチカット大学ソーシャルワーク大学院客員研究員。現在、大阪市立大学大学院生活科学研究科 教授。<専門領域>社会福祉学/ソーシャルワーク論<主な著書>「支援困難事例と向き合う-18事例から学ぶ援助の視点と方法-」中央法規出版、2014年。「対人援助のための相談面接技術-逐語で学ぶ21の技法-」中央法規出版、2008年、など多数。

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社会福祉法人 水仙福祉会