会報誌「風の輪」に掲載している当法人の各施設・事業所で働く職員による随筆です。


「気持ちが通じ合った瞬間」

 私がベビーホームで働き始めて、2年目の秋を迎えた。新年度の春、水遊びの夏を元気いっぱいに過ごし、ほっとひと息ついて子どもとの関係が深まるこの季節を、大切にしたいと思っている。

 私は今年度、2歳児クラス、18人を3人で担当している。この月齢の子どもたちは、ことばでの表現がまだ十分ではないために、結果として相手を困らせる行動になる。私はそんな時、うまく対応できずにいた。

 ある日、私は部屋で他の子どものオムツをかえながら、Aくんの様子を見ていた。Aくんはひとりで、いつも遊んでいるパズルをしていたが、急にパズルのピースを机から落とし、椅子を倒してしまった。

 どうしたのかなと思いながらも「パズル一緒にしよう」と声をかけ、手を差し出すと、「そのひと言、待っていたんだ」というように、Aくんから私の手をぎゅっと握り返してきた。Aくんが椅子まで倒してしまったのは、本当はうまくできないことを誰にも言えずに困っていたんだ。私がAくんの思いを感じとった時、Aくんから私を求めてきてくれたと実感した。

 今、子どもたちから「一緒にしよう」と誘いかけられる時が何よりもうれしい。ただ行動だけを見るのではなく、子どもの本当の思いを感じとれる保育者でありたいと思う。

風の子ベビーホーム・保育士(平成27年入職)
第62号(平成28年11月発行)より

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