「前向きに自分らしさを」

 風の子そだち園に勤めて6年、それまで福祉の現場は未経験だった。勤め始めた頃は、利用者の方に自身の存在を少しでも認めてもらおうと必死だったように思う。

 大学では美術を学び、その後の就職でもものを作ることを続けてきた私には当時、人との関係をそこまで密にとった経験がなく、自信を失った時期もあった。そんななかでも喜びや仕事をするうえでモチベーションの助けになったものは、自分と利用者の関係の深まりと共に利用者に変化が見えることだ。もちろん、日々の支援で大きな変化が簡単に起こることは一度もなかったが、ある時、室内の活動が苦手で集中してアートや創作などすることは難しいのではないか、と思っていた利用者の方がその場の雰囲気や働きかけによって楽しんでもの作りをされている場面を見て私が勝手な決めつけをしていたこと、それによってその人の可能性を奪っているように感じたことがあった。

 この経験から、自分のなかで躊躇していたアートを人に伝え共に楽しむということに前向きになり、より自分も成長したいと思えるようになった。一人ひとりに違いに寄り添いながら表現してもらうことは、簡単ではなく、まだまだ難しいこともたくさんあるが自分のことも人のことも決して決めつけずたくさんのことに挑戦していきたい。

風の子そだち園・支援員(平成22年入職)

第66号(平成29年12月発行)より

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