● | 視点(19)
|
園では、お子さんの発達状況と今後の見通しを保護者の方と一緒に確認する機会を持っています。入園当初と比べると、どのお子さんも様々な面で成長が見られます。今回は、保護者や支援者との人間関係のあり方とコミュニケーションの関連を見てみましょう。 ◆一人で行動することが多いときは… 発声 あまり声を出さない。ぐずり声、高い鋭い声。抑揚がなく、一本調子。独り言。CM。 視線 視線を合わせない、声をかけても振り向かない。斜め目線のまま走る。うつむき加減、ちらっと見るだけで真っ直ぐ見ない。こちらが見ると目をそらす。 感情 喜怒哀楽が分かりにくい。転んでも泣かない。急にぐずる、急に泣き出す。身体に力が入る。自傷。叱られてもヘラヘラ笑う。 意思 嫌なときは、無視する、その場を離れる、かんしゃくを起こす、手を振り払う、座り込む、全身の力を抜く。納得したかどうか分からない。一度応じても後でぐずる。 要求 欲しい物を人に伝えず取ろうとする。強引にひったくる。取れなければ諦める。ごねる。かんしゃくを起こす。 ◆特定の人を求めるようになると… 発声 発声の頻度・種類が増える。うれしい、呼ぶ、訴える、催促する、伝える声など。 視線 呼びかけに振り向く。相手の目をまっすぐ見る。相手の表情を読み取る。興味を持って動きを目で追う。援助を求める視線、自分を見てほしいと訴える視線。 感情 喜怒哀楽がはっきりする。笑顔が増える。微笑む。泣く。涙を流す(ワーンワン、エーンエン、しくしく、めそめそetc)。やきもちを焼く、はにかむ、得意になる。 意思 嫌なとき、「イヤ!」と主張する、首を振る。納得すると行動で応じる、うなずく。 要求 大人の手を引く。物を手渡す。手さし、指さし、言葉で伝える。諦めない。※斜め目線、こだわり、かんしゃくなど、気になるしぐさ・行動は減少する。 日々の関わりを通して保護者や支援者を強く求めるようになると、必ず子どもの心の中に「自分のことを見て! 聞いて!分かって!」という思いが生まれ、それが原動力となって、コミュニケーションを前に進めます。まず、視覚・聴覚を駆使してその人の姿を見分け、声を聞き分けようとするので、先に挙げたように、視線や発声が次第に人に向かいます。また、要求・意思・興味を何とか伝えたいとの思いから、今持っている伝達手段を最大限に働かせるので、「伝わってよかった」との実感を蓄積しつつ、発声・視線から、手を引く、指さし、言葉へと、より良く伝わる方法を模索・獲得していくと考えられます。 私たちは、一人ひとりの子どものペースを大切にその過程を一緒に歩みたいと思います。 |