● | 視点(22)
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今回は日常の様々な場面で子どもに接するときに私たちが心がけていることを書きます。子どもは障がいがあってもなくても、一個の主体として自分なりの意思、感情、内面世界を持っています。基本は一緒です。ただ、障がいのあるお子さんは表出が弱かったり表現が間接的で分かりにくいため、私たち大人により細やかな配慮が求められます。 ・話しかけるときは、必ず本人が何をしているかを見ながら、「○○さん、□□くん」と名前で呼びかけます。振り向かない、返事しない場合も、たいていは聞こえています。そこには本人の意思、戸惑い、緊張が働いていると意識して話しかけます。 ・大人同士の話もちゃんと聞いていますから、本人を「蚊帳の外」に置かないように気を配ります。「○○やね」と本人にも話しかけて輪に入れるようにします。 ・体罰や怯えるような声かけは慎みます。行動を止めざるをえないときは、後ろから急に服を引っ張ったり強引に引き離したりせず、言葉をかけて身体全体で抱き止めます。 ・何かを誘いかけるときは本人に意向を尋ねます。答えない、顔を背ける、手を払いのける、怒るなどの行動は、「イヤ」という精一杯の意思表現と捉え、何が嫌なのか、どうしたいかの理解に努めます。物事を強要せず、必要な時はきちんと頼みます。 ・何かを伝える場合は、本人が聞く姿勢を持てるような表情・態度を心がけ、言葉だけでなく、必要に応じて実物・絵・写真を見せて、分かりやすく説明します。 ・こちらが約束を守れなかったり誤解に気づいたりしたときは、きちんと謝ります。 ・用事やトイレで場を離れるときは本人に伝えて、不安を与えないように配慮します。 ・視線の先や表情の動きに注意を払い、興味の対象や関心の度合いの理解に努めます。 ・先にさっさと歩いたり本人の後を付いていくのでなく(どちらも本人の表情が見えません!)、並んで歩くようにします。手首を掴んだり一方的に引っ張るのでなく、こちらから手を差し出して、信頼して手をつないでもらえるように配慮します。 日常の行動をよく観察すると、子どもたちは私たち大人の話を想像以上によく聞き、その行動を見ていることが分かります。ちらっと見る、その周辺をウロウロする、話の内容に反応して急に声を上げる、その場を離れるなど、見落としやすい微妙な行動です。 障がいや発達の遅れがあると、私たちは「言っても分からない」と思い込み、本人抜きで一方的に物事を決めてしまったり、気づかず本人を傷つける言動をしてしまうことがあります。子どもたちは、どんなすぐれた指導・訓練よりも、私たち大人がまず足元の子どもに対する理解や関わり方を見直すことを強く望んでいるのではないでしょうか。 |