● | 視点(44)
|
人はみな自分の意思や感情を持っています。その人が「良かった」と納得のいく生き方ができるには、その意思が尊重されることが大切です。どんな障がいがあっても発達がゆっくりであっても、基本は同じ!・・・今回は、意思表現が育つ過程を見てみましょう。 意思表現には周りの人との関係のあり方が反映されます。その過程は、大まかにみると、以下のように人を避け自分を防衛する段階から、相手に向けて自信を持って表現する段階まで、いくつかの段階を区別することができます。
意思表現は身近な大人とのやり取りを通して育ちます。支援者や親御さんが、本人の行動からその背景にある意思や思いをいかに読み取り、本人が安心・納得できるような対応ができるかにかかっています。 私たちは、子どもたちが①~⑤のどの段階にいても、その行動を本人なりの精一杯の意思表現と捉えて、何が嫌なのか、何を訴えているかを理解しようと努めます。たとえ返事が返ってこなくても、誘いかけるときには、分かりやすく説明し、意向を聞き、本人からの意思表示を待つように心がけます。「○○が嫌なの?」「どうする?」「どれにする」と意向を尋ねることで、本人の心の中に(少しずつ、しかし確実に)『相手に向けて意思を表現する態度』が作られていくのです。表明した意思が尊重されれば、「思いが伝わった」との手応えを得られるため、次はより明確な表現になっていきます。 反面、こちらが「こうさせたい」「させたくない」という強い意図や指示的態度で接すると、本人は強く反発し意固地になるか、逆に自分の意思を抑え込み、従属するようになります。その結果、心の中に怒りが蓄積し、人への根深い不信感を作り出します。 『私たちの理解や関わり方が本人の将来を左右する』と言っても過言ではありません。 |