子どもと自然
2016年5月・第460号「風の子だより」より

 「目に青葉 山ほととぎす 初かつを」という句がありますが、今は丁度その季節です。私たちの法人では、丹波篠山に自然体験施設「丹波の家」「丹波風の家」を持っていますが、法人内の障がい者施設の人たちが、この施設を活用して宿泊合宿をしています。

 その人たちの報告では、山の緑があざやかで見渡す自然が生々と感じられ、時折ほととぎすの鳴き声を耳にするようです。そして冷たい小川の水は、実際に飲める透き通った綺麗さです。それに何よりも、山菜を摘み、山菜料理を作ることが楽しみです。

 4・5月の今の時期は、年間で一番気持のよい時ですが、しかし、この時期とは違った時でも、自然はまた違った表情をもって私たちを楽しませてくれます。

 しかし、このように自然の中で生きる喜びを味わうことは、都会に生活する者にとっては遠い理想です。子どもの頃から自然と無関係に育った子の中には、大人になっても自然の方向に足が向きません。いわゆる食わず嫌いというものです。

 有名なフランスの近代教育の思想家 “ルソー ”は、自然こそ教育の理想であると主張し、子どもは自然の中で飛んだり、跳ねたりして遊びまわっている姿こそ、もっとも充実した時であるとしました。そして、この自然主義の中で、のどの渇き、空腹、疲労、危険の体験などの厳しい鍛錬主義を提唱したのです。

 また、アメリカの生物学者レイチェル・カーソン女史は、著書「センス・オブ・ワンダー」の中で、子どもが自然の中で色々なものを発見し、驚きの感覚をもって知能を伸ばしていくと言っています。

 自然は最高の教育環境ということでしょう。風の子児童館では、小学生を対象に「自然学校」を組織し、年に5回程丹波へ日帰りハイキングに行っています。大人も結構参加されて、毎回20人にはなります。低学年で加入した子は、卒業の六年生まで続いています。自然の楽しさを体験すると、興味が深まっていくようです。

 各ご家庭でも、お休みの日などには山や河や緑のあるところに、お子さんと共に散策されますよう、おすすめしたいと思います。

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