● | 幼児施設の園庭 2016年8月・第463号「風の子だより」より |
園では、随分以前から子どもたちの屋外園庭のあり方について検討しています。日本の幼児施設(保育所・幼稚園)の園庭は、大体一つにパターン化されています。どの園でも、ブランコ、ジャングルジム、すべり台、砂場が設置されています。昔から街の児童公園や遊園地では、ブランコ、すべり台、シーソーが3種の神技と呼んで、必ず設置されるものとされていました。その後に、ブランコは事故が多いことから、周囲を囲ったり、廃止したりする所が出てきて、多くの幼児施設でも撤去する所が増えてきました。 今から20年前程からカラフルなデンマークの木製遊具が導入されてきましたが、公立の幼児施設を中心に、鉄製の遊具がまだまだ広く使われているのが実態です。ジャングルジムを始めとする鉄製の大型遊具は場所も取り、頑強で50年、100年と持つようで、簡単には無くすることはできません。 こうした遊具や砂場が狭い庭に設置され、中心に平面の遊び場が用意されているのが、日本の幼児施設の特徴です。しかし、幼児教育の進んだヨーロッパや北欧の施設を見学すると、日本の施設とはまったく違った風景に驚きます。日本で見るような遊具は、殆んど設置されていません。砂場もありません。遊び回る広い平面の庭もありません。花壇のある庭がある程度です。この点は、日本の小中学校でも、運動会をするためなのでしょう。広い運動場を設けていますが、ヨーロッパでは日本のように運動場を持つ学校はありません。道路からすぐ校舎があって、日本のように長い塀があって校門があるという姿ではありません。幼児施設も道に沿って建物があり、すぐに室内に入れます。 今、幼児施設の日本の形が崩れようとしています。用具を全く設置しない施設があちらこちらと出現してきたのです。戦後70年を経て、一つの反省が生まれてきたのでしょう。新たな発想の園庭づくりの設計者も活躍しています。子どもは遊びの中で学習し成長していくのですから、創造や工夫をする子どもらに対して、大型の固定遊具は好ましいものではないということでしょう。 |