入所決定について
2017年2月・第469号「風の子だより」より

 今年も新年度の入所児がきまる時期が来ました。本園では、今回も入所申込み児が多く、入所予定児の2倍という状況でした。

 役所の入所決定は、申請者の状況をすべて数値で表し、その合計点の順位で決められます。この選考方法は、前の市長の意向で決められ、それ以降踏襲されています。

 これには市内のほとんどの保育園の園長がこの選考方法に疑問を持ち反対の意思を持っています。その一つは、在園児の下のきょうだいが同じ園に申し込みをしても、その年度のその年令の申込状況によって、数値が少しでも低ければ入れず、第2希望、第3希望の他園に廻されることです。そのため、きょうだいが違った園に通うことになった例が出てきていることです。大変残酷で、保護者の苦労が思いやられます。

 その二つには、数値で評価することは、あたかも公平のように見えますが、それぞれの園での第一希望者間の数値による順位ですので、申込の多い園と少ない園とでは大きな違いが出てきます。したがって施設間では、数値は共通性がなく意味のないことです。区全体の申込者を数値でもって順位を決め、各園に入所を決めていくのなら、まだ公平性があるといえましょう。第一希望で入れなかった方は、数値が高くても第2希望、第3希望の園に廻され、実際は数値上は逆転する不可解な現象となります。

 元来、保育所は地域の社会福祉施設です。地域の人たちのためにならなければなりません。地域に住むきょうだいは同じ施設に通うようにしなければなりません。きょうだいがバラバラに決められたりするのでは、地域福祉とはいえません。

 そして、一昨年までは入所面接が各園で行なわれてきましたが、昨年からは、全て区役所で実施されることになりました。各園では、どんな人が申込されているのか分からない状況になりました。申込受付から、面接、入所決定のすべてが役所で実施するわけです。戦争前のような「知らしむべからず、余らしむべし」という官僚主義的な秘密主義の中で決められるようになり、民主主義と相反する姿に変わっています。

 福祉とは縁の遠いことと言えましょう。

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