絵本の大切なこと
2017年6月・第473号「風の子だより」より

 小さい時期の子どもにとって、絵本はとても大きな役割をもっています。それは子どもの知能や感情の発達にとって、欠くことのできない道具であると言えます。絵本は、子どもの遊びのおもちゃの一種ではありません。絵本は、大人が子どもに読み聞かせをするためのものです。ですから、絵本は大切に扱うことが基本です。

 風の子保育園では、随分と以前から「なにわ語り部の会」の錺栄美子さん、村田せつ子さんのお2人の専門家の方を招いて幼児に対して、絵本読みの活動をしています。お2人は、ボランティアで、来てくださっています。このお2人の話術の巧みさに、子どもたちは目を輝かして集中して聞きます。その時の子どもたちの頭の中は、興味が駆けめぐり、心の中は深い感動に浸っています。この子どもたちの集中は、1つの学習でもあります。

 毎年1回秋に、大阪市内の保育園児(主に5歳児対象)が西区にある子ども文化センターにて人形劇を見に行きます。風の子からも毎年ぞうさんが参加しますが、この観劇の時の風景がいつも伝えられている特徴があります。それは劇の際中に、他園の子どもたちは体を揺すったり、おしゃべりをしたり、立ち上がったりして舞台に集中しない所が多いのに、風の子の子どもたちは、全員が静かに舞台を眺めて集中していると報告されています。これは、日常の園内における絵本の読み聞かせの活動の成果だろうと思っています。

 昨年の九月から、「なにわ語り部の会」の会長である禅定正世さんが、法人内の職員に対して絵本についての職員研修の講師として指導に来てくださっています。その禅定さんの語りの世界には、真に陶酔した心地になる魅力があります。大人でもそうですから、子どもたちには大きな感動を起こすのでしょう。

 絵本が余りない時代の母親は、子どもに昔話を語って聞かせました。いわゆる「桃太郎」や「金太郎」などです。それを聞いて育った子どもたちは、今では大人になっていることでしょう。しかし、小さい時に母親が語ってくれた「お話」は年を取っても忘れないものです。想像を作る絵本やお話は、永遠のものだと言えましょう。

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