● | 風の子の学童保育 2018年4月・5月・第483号「風の子だより」より |
新学期が始まる4月、今年は例年より桜の開花が早く、入学の頃には葉桜の様子になり、残念でした。風の子児童館子どもの家は学童保育を実施していますが、今年で開始以来52年になります。この間、600人を超える子どもたちが、第二の家庭である児童館へ通いました。短い子は1年間、長い子は6年間ですが、どの子も保育園やベビーホームに乳児期から保育された子が殆どですので、その子にとって園との関係はずい分と長い年月になります。 今年の風の子児童館には、18人の新1年生が入所しました。いずれも3月に風の子保育園を卒園した子です。ここで、風の子児童館について少し触れておきます。一般の公私保育園で学童保育を行なっているところは殆どありません。大阪市内で数カ所という状況です。毎年春に、カギっ子を送り出している保育園が、卒園した子がどうなっているのか心配しないで、見て見ぬふりをする姿勢でいるのが不思議です。 風の子保育園が、昭和41年に学童保育を始めたわけは、保育園を卒園するM子ちゃんのお母さんが、大変深刻な表情でお願いに来られたのでした。それは、「4月からこの子は小学校へ行くのですが、下校後どうか保育園の片隅でよいので、この子のカバンを置かせてほしい」ということでした。事実上母子家庭のM子ちゃんにとって、カバンだけということではありません。M子ちゃんの安全への心配があったわけです。 この申し入れに対して、何はともあれ、下校後のM子ちゃんを預かることにしました。これが風の子の学童保育の出発です。M子ちゃんのお母さんの声により、深刻な子どもの福祉の問題に気づかされ、何とかせねばという気持ちにさせられたわけです。翌年、当時の木造園舎の2階にあった園長の私室の一室を開放し、3人の学童児を対象に園の事業として学童保育が始められました。 以来、年々希望児童が増え、保護者も安心して仕事が続けられたことと思います。ベビーホーム、保育園、児童館とつながって大きくなった子たちには、何よりも「ふるさと」の想いが強いのではないでしょうか。 |