児童虐待について
2018年12月・第490号「風の子だより」より

 今年もあと残り少ない時期になりましたが、この1年振り返って、どんな年だっただろうかと考えます。今年も各地で地震が起き大変な被害がありましたし、また台風による風水害も次々起きて大変な年でした。このような自然災害だけでなく、3月に東京都目黒区で起きた5才の女児に対する虐待死は、何とも悲しい出来事でした。別室に閉じ込められた女児が、「ママ、かんにんしてください」という言葉を書いて、衰弱死させられていたという報道は、子どもの幸せを願う仕事をしている者にとって、何ともやるせない思いです。

 日本が世界に向かって開国した明治の時代に、西欧の文明国に早く到達するため、ヨーロッパの各国からたくさんの知識人や技術者を日本に招へいし、指導を受けた時期がありました。この人たちが任務を終えて自国に帰った後、日本についての評価を込めた感想を文書にして沢山残されました。この翻訳されたものを読みますと、日本の自然の美しさと共に共通してあるのが、日本の子どもたちが家庭でも地域でも大切にされ、可愛がられているのに、日本の子どもは本当に幸せだと評価していることです。

 日本で昔からある祭りごとの一つに、七五三のお祝いがあります。子どもは神から預かった大切な子であるので、3才、5才、7才の節目に、丈夫で元気に育っていますということを御礼を込めて神に報告するという慣習です。

 昔の貧しい時代でも、親は食べなくとも子には与えるという優しさのあった日本の子育ては、どうしてこのように変わってしまったのでしょうか。

 大阪市のこども相談センターで受けつけた児童虐待の件数は、平成29年度で5485件です。10年前は871件、20年前は240件だったので、大変な増加です。このままでは日本の将来が心配です。

皆さまにとって、来年は良い年でありますようお祈り申し上げます。

園長手記ページに戻る  トップページに戻る
設置・運営主体
社会福祉法人 水仙福祉会