● | はらぺこ あおむし (2021年10月・第524号「風の子だより」より) |
半月ほど前に、NHKテレビで世界の名作絵本の「はらぺこ あおむし」の作家エリック・カール氏の話が放映されていました。ご覧になった方もおいでのことでしょう、この絵本のストーリーは、昨年の園の保育参観で、4歳児きりんの子どもたちが演技をしましたので覚えている方も多いと思います。 エリック・カールさんは、アメリカの絵本作家ですが、もとはドイツ人で第二次世界大戦のナチスの専制からアメリカに亡命した人でした。 このテレビの内容は、アメリカの小学生の子に対して、それぞれ自分たちで絵本を自作する指導の話でした。いろんな色のクレパスを使い、思い思いの表現を自由に描くというものです。指導とか教えるというものではありません。子どもたちの悩みや質問には丁寧にアドバイスをしながら、子どもの考えを否定しないで、むしろ評価しながら、自由な発想をうまく引き出していました。子どもたちが絵を完成するのに結構長い時間を経過しましたが、その間のカールさんの巧みな指導ぶりは飽きがこないものでした。 子どもたちの完成した作品を見てみると、写実とはまったく関係なく、赤や青の派手な色遣いをした印象の強い、そして形の面白い作品ばかりでした。これは「はらぺこ あおむし」の絵本と、まったく同じです。 つい数日前、午後8時ごろ万博公園の前を通りました。有名な岡本太郎の太陽の塔が、両目に電気がついて高い所からにらんでいる姿を見ました。夜に見るのは初めてですが、それは圧倒される思いでした。何か理屈抜きの感じです。前述の「はらぺこ あおむし」と同じように、人の心の奥にある何かを表現することの意味が多少わかってきたように思います。 乳幼児の保育園時代の子どもたちは、いっぱい将来の可能性をもっての今があります。この可能性を潰さないように、一人ひとりの個性を大切に育てていくことが大切であると痛感しているところです。 |