自由保育について
(2023年4月・第541号「風の子だより」より)

 日本の保育は、幼稚園も保育園も、学校をモデルにして出発しました。日本の学校では、先生がいて教科書があって、先生は教科書に基づいて時間割を決めて授業をする。そして年齢で分けたクラスを作って行なう。

 ところが世界はどうかといいますと、ヨーロッパでは3歳、4歳、5歳の年齢の幼児がひとつのクラスに混合で存在して、自由保育を展開している。先生が一斉に同じことを子どもらにさせるという日本の学校の授業のような形をとらない。

 日本ではほとんどの園で、「今日は母の日だから、お母さんの絵を描かそう」というように、テーマを先生が設定します。子どもらが30人おれば、全員に画用紙を与えて、「今日は母の日だから、皆さん、お母さんの顔を描いてください」と指示します。子どもは先生に言われたから描かなきゃならんわけです。絵を描きたくない子どもがいても、それは描かないと具合が悪い。

 自由保育は、子どもが、今日は何をするかをあらかじめ考えていて、「今日は誰々ちゃんとこういうことをしよう」と考えて登園することができます。登園したら自分たちでいろんな想像をして、保育を自分たちで作っていく。子ども自身に主体があって、子ども自身が主体的に考えて行動する。普通の保育ですと、先生が決めるんだから、子どもはただ黙ってそれに従えばいい。先生が主体なのか、子どもが主体なのか。一斉保育と自由保育は、そこが基本的に違うわけです。

 子どもはどのようにして成長するのかを考えますと、子ども自身が自分で基本的に成長していく、理解していく、頭を使って考えていく。子ども自身に主体性がないと本当は伸びていかないと思うわけです。私どもは50年前にこういう保育に転換して、今日まで50年ほどの歴史をもってやってきたところであります。子ども自身の将来にとってそれがいいという確信をもっております。

※4月8日に行なわれた全体懇談会(幼児)での園長の話から抜粋しました。

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