「Dちゃんの強い思い」 |
会報「第55号 共に生きる」より(令和6年9月発行) | |
私が入職してすぐ、世界はコロナウイルスが流行していた。 緊急事態宣言で利用者さんは自宅待機となり、少人数での活動を余儀なくされるなかだったが、私は利用者さんとより深く関わることができるのではないかと感じた。 初めて担当したEさんは室内で過ごすことが難しかったり、先の見通しが持ちにくいと不安になったり、言葉でのコミュニケーションが取りづらいが、五十音ボードや表情、行動で意思を伝えてくれるのを私は必死に汲み取る毎日だった。 時には先輩職員に助言を求めたり、関わるなかでうまくいくこともあれば、うまくいかずに怒らせてしまうこともあった。 毎日ウォーキングに出かけて、好きなブランコを一緒に漕いだり、好きなアニメや漫画の話をして楽しんだり、短い期間でも仲良くなる感覚を実感し、私自身のやりがいを感じる瞬間であった。 半年、1年と時間が経つにつれて、Eさんの気持ちも理解できるようになり、好きなことだけでなく、苦手なことにも一緒に挑戦することができることも増えてきた。 今では、室内での活動にも穏やかに参加したり、得意な文字を書き写したり、活動の変更にも柔軟に対応してくれたりと、大きな変化も次々と見られるようになった。 入職して4年が経ち、私が別の利用者さんとの関係についてとても悩んでいる時、Eさんは私の表情を見て、横に座って、頭を撫でながら一緒に涙を流してくれることがあった。その時は「ありがとう、もう大丈夫だよ」としか答えることができなかったが、気持ちが落ち着いた時に、自分がこれまでしてきた支援を前向きに捉えることができて、心が救われたような気がした。 楽しい時やうれしい時だけではなく、苦しい時も悲しい時にも助けを求めてくれたり、一緒に解決したりする姿勢が、Eさんからの信頼につながっていることも実感することができた。 そして、これまで築いてきた信頼関係を大切にして、お互いに助け合いながら今後も様々なことにチャレンジしていきたい。 |
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※写真はイメージです。 |