「話を聞いてもらうこと」
会報「第57号 共に生きる」より(令和7年11月発行)
 姫島こども園には放課後等デイサービス事業があり、小学生から高校生までの子どもたちが利用しています。園ではみんなそれぞれ興味や関心に合わせ、好きなことに取り組みます。チームで鬼ごっこをしたりプラレールや製作に取り組んだり、自由に遊びながら、職員に思いついたことを話したり、友だち同士で相談をしたりして遊びを進めています。そのなかで、日々うまくいかないこと、しんどいこと、悩んでいることなどを職員に話す子どももいます。学校のこと、勉強のこと、友だち関係などみんな抱える悩みは様々です。

 Hくんは中学3年生。地域の中学校に通っていますが、勉強が苦手です。自分に自信が持てず、クラスの友だちに自分から話しかけにくい様子です。園に来て職員に学校のことを話します。「テストが嫌。○〇の先生は怖い」など気になっていることを吐き出した後は、好きな趣味の話や製作にいきいきと取り組んでいます。

 ある日のことです。一つ年上のIくんが入ったばかりの高校で起こったトラブルについて、職員に話を聞いてほしがっていました。近くにいたHくんは「高校の情報の参考にさせてほしい」と職員と一緒に話を聞いていました。Hくんは話の内容に共感し、親身になって聞いていました。Iくんは学校であった理不尽なことを話しておりHくんも「自分にも似たようなことがあった」と言いました。Iくんはそれを聞いて「嫌なことがあっても、手を出していない君は偉い。先に手を出したら負けや」と過去に思わず手が出てしまった自身の経験から、暴力に頼らないHくんの振る舞いを褒めました。理不尽なことはたくさんあるけど、力で解決しようとしないIくんの思いに驚きました。

 また話しているうちに距離が近くなったHくんとIくん。今度はHくんが「学校に友だちがおらんねん」と悩みを話し出しました。それを聞いたIくんは「え、俺はもう友だちのつもりやけど」と答え、近くにいたJくんに耳打ちをしました。おそらくIくんが「友だちになってあげて」と頼んだのでしょう、心優しい性格のJくんはすぐに、Hくんに「僕と友だちになってください」と頼みに行きました。「な、俺ら友だちやろ」と得意げなIくん。それを聞いたHくんの嬉しそうな表情が印象的でした。

 子どもたちは職員に話を聞いてもらい、思いを受け止めてもらうこと、しっかり共感してもらうことで、相手の気持ちを考える力が着実に育っていると実感した場面でした。自分の話を聞いてもらう経験から、相手の話にも耳を傾け、自然に相手を思いやり、友情がうまれたとても心あたたまる瞬間でした。

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